NECの新卒採用面接では、「どんな社会課題にどう貢献したいのか」を技術的な背景と結びつけて語れるかが重要なカギとなります。この記事では、電気電子工学を専攻する大学院生が、NECの面接を受けるという設定のもと、自己PRから志望動機、チーム経験、弱みの伝え方まで、実践的な質疑応答例を網羅しました。
技術的な専門性を持ちながら、社会実装・公共性に関心を寄せる方にとって、NECは非常に親和性の高い企業です。本記事では、そうした観点からどのように自分の経験や思いを伝えればよいのか、人事の視点も踏まえて丁寧に解説しています。
NECを志望する電気電子系の学生はもちろん、自分の専門を社会価値にどう結びつけて語ればよいか悩んでいる方にも役立つ内容となっています。
自己PR

私は、電気電子工学の研究を通じて培った「課題を構造化し、実証を通じて解決する力」を活かし、NECの技術開発に貢献したいと考えています。
大学院では、センサ信号処理と低消費電力化に関する研究に取り組んでおり、実際に自作した回路とアルゴリズムによって、従来比で20%以上の電力削減を実現しました。単に理論を学ぶだけでなく、「現場で使える形に落とし込む」ことを意識しながら、ハードウェアとソフトウェアの橋渡しを意識してきました。
このような視点は、NECが注力されているセーフティ分野やスマートシティ、社会インフラの分野でのセンサネットワークや信号処理技術の実装において、役立てると確信しています。また、国や社会と密接につながるNECのプロジェクトには、“技術で社会を支える”という私の目標とも強く重なり、研究活動で身につけた知見や粘り強く検証を続ける姿勢を活かせると考えています。
質問:「学生時代に経験した最も大変だったことは何でしたか?それをどのように乗り越えましたか?」

大学院の研究で、センサ信号の誤差補正アルゴリズムを開発していた際、予想以上にノイズが多く、理論通りに処理しても実機では誤作動を繰り返すという問題に直面しました。半年以上、原因の特定に時間がかかり、何度も実験計画の見直しを迫られました。
特に大変だったのは、試行錯誤の末に「今のアプローチでは限界がある」と気づき、一からアルゴリズムの設計思想を見直す決断をしたときです。焦りもありましたが、研究室の先輩や外部文献からヒントをもらい、比較的ノイズに強い統計的手法をベースにした方式へ転換しました。
その結果、誤差率を従来の約40%から10%以下に抑えることができ、最終的には学会でも発表する成果につながりました。
この経験から、困難な状況でも一度立ち止まり、情報を整理し直すことで突破口が見えてくること、そして一人で抱え込まず、周囲の知見を借りることの大切さを学びました。今後も、技術的な壁に直面したときは、冷静に分析し、前向きに道を切り拓いていく姿勢を大切にしたいです。
質問:「具体的にどういった仕事を担当したいですか?」

私は、NECが展開する社会インフラやスマートシティ分野におけるセンサデバイスや信号処理技術の開発業務に携わりたいと考えています。
大学院では、センサから得られる微弱信号の処理とノイズ除去技術を研究してきました。特に、実環境において安定してデータを取得・活用するためのハードウェアとアルゴリズムの融合に強い関心を持ち、自ら回路設計や実験を通じて検証してきました。
NECが持つ顔認証・生体認証技術や都市監視ネットワークは、今後ますます高精度・省電力化が求められると感じています。私は、現場の制約を踏まえた堅牢な技術づくりで、安心・安全な社会インフラの一端を担う技術者として貢献したいと考えています。
質問:「チームで課題を解決した経験はありますか?」

はい、学部4年次の卒業研究において、3人チームでセンサ信号を遠隔送信するための実験装置の設計と通信安定化に取り組んだ経験があります。
当初、通信環境が不安定でデータが欠落する問題が頻発し、誰がどの原因を追うべきかも明確でない状況でした。私はリーダー役を務め、まずは全員の進捗と課題を共有するミーティングを毎週設け、責任範囲を明確化しました。
自分は主に、信号処理側のアルゴリズム改善を担当しつつ、他メンバーの回路設計や通信設定との接続部分にも入り、相互の仕様ズレを防ぐ調整役として立ち回りました。最終的には、欠損率を10%以下に抑えた動作が実現し、卒業研究発表会でも高評価を得ました。
この経験から、個々の強みを活かしながら全体最適を考える協働の重要性を実感しました。今後も、専門性を発揮しながらもチームの成果にこだわる姿勢で取り組んでいきたいです。
質問:「なぜ他社ではなくNECなのですか?」

私がNECを志望する理由は、“技術で社会価値を実現する”という姿勢が、最も自分の考えと一致しているからです。
大学院では、センサや信号処理に関する研究を通して、「技術をどう社会で活かすか」を常に意識してきました。NECは、AI・センサ・ネットワークといった技術を軸に、顔認証や災害対策、交通インフラといった公共性の高い領域に強みを持っており、「人々の暮らしを守る仕組み」を技術で支えていると感じました。
特に、スマートシティやセーフティ分野での取り組みに惹かれています。他社でも通信やセキュリティに取り組む企業はありますが、NECは社会課題の解決に直結する形で技術を実装しており、利益と社会価値を両立する姿勢に強く共感しています。
私自身も、専門である信号処理や省電力化技術を通じて、NECの社会的使命に貢献していきたいと考えています。
質問:「他の企業でもできるのではないですか?」

確かに、私の専門であるセンサ技術や信号処理の分野は、他の電機メーカーや通信企業でも取り組まれていると思います。しかし、その中でもNECは“社会の安全・安心”に特化した技術の実装力において際立っていると感じています。
たとえば、顔認証や生体認証の世界トップレベルの技術を、空港や防災・スマートシティといった公共領域で実装している点は、他社にはない強みだと思います。技術の高さだけでなく、「それをどう社会に役立てるか」という使命感の強さがNECの最大の魅力だと感じました。
私も、ただモノを作るのではなく、社会課題の現場で役立つかたちで技術を活かしていきたいという思いが強く、NECでならそれを実現できると確信しています。
質問:「人間関係で困った経験はありますか?どのように解決されましたか?」

はい、学部時代に、研究室で同じプロジェクトを進めていたメンバーとの間で意見が対立し、議論が平行線になってしまったことがありました。
そのメンバーは「理論を重視して慎重に進めたい」タイプで、私は「ある程度動かして検証しながら進めたい」タイプだったため、作業の進め方について何度も食い違いが生じました。最初はお互い主張ばかりで、チーム全体の雰囲気もぎくしゃくしてしまいました。
そこで私は一度、相手の考えをしっかり聞く場を設け、「なぜその方法を重視しているのか」を深く理解しようとしました。その上で、お互いの進め方の長所を組み合わせて、部分的に実装・検証をしながら精度検証を行う進め方に変更しました。
結果としてプロジェクトは予定通り進み、発表でも高評価を得られました。何より、相手との信頼関係も築けたことが、自分にとって大きな学びでした。
質問:「あなたの弱みを教えてください」

私の弱みは、慎重になりすぎて、意思決定に時間がかかることがある点です。特に研究の初期段階では、「もう少し情報を集めてから…」「もう一回だけ確認してから…」と、最初の一歩を踏み出すのに時間を要してしまうことがありました。
このままでは成果が出るまでのスピードが落ちてしまうと感じ、最近では「全体の方向性が見えたら、小さく動きながら確認していく」ことを意識しています。具体的には、実験や解析の前に「仮説→簡易検証→方向修正」のサイクルを早めに回すことで、判断力とスピードの両立を図るよう努めています。
まだ発展途上ではありますが、「動きながら考える」スタンスを持てるようになったことで、以前よりも効率的に研究や課題解決を進められるようになってきたと感じています。
質問:「なぜ電気電子工学科に入ったのですか?」
私は、「目に見えない仕組みでモノが動くこと」への興味から電気電子工学科を選びました。
高校時代にラジコンを改造して遊んでいたとき、単にパーツを交換するだけでなく、「電流の流れ方や回路の組み方ひとつで性能が変わる」ことを知り、その“目に見えない制御”の奥深さに強く惹かれました。
それをきっかけに、大学では電気回路・制御工学・センサ工学などを幅広く学び、「人や社会に役立つ技術に応用できる分野だ」と確信するようになりました。
現在はセンサ信号の処理・省電力化をテーマに研究を進めていますが、将来的にはこの分野で、社会インフラや安心・安全の技術を支える役割を担いたいと考えています。
まとめ|専門性を「社会にどう役立てるか」を語れるかがカギ
NECの面接では、単に「何を学んだか」ではなく、その知識や経験を“どう活かして社会に貢献したいのか”を、自分の言葉で具体的に語る力が求められます。電気電子工学という専門分野は、センサ技術・信号処理・ネットワークインフラなど、NECの注力分野と非常に親和性が高い領域です。
本記事で紹介したような、課題解決型の経験や、協働の中での成長、そして自らの弱みへの向き合い方は、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせる大きな要素になります。
技術はあくまで手段であり、その先にある「誰の、どんな問題を解決したいのか」という想いを、ぜひあなた自身の言葉で伝えてください。
NECという社会的責任の大きなフィールドで、自分の専門性を活かしたいと本気で思う方にとって、本記事がその第一歩となれば幸いです。