【決定版】タワーマンション購入時に確認すべき防災対策ポイント|洪水・地震・停電対策

2019年10月12日発生した台風19号に代表されるように、近年は毎年強い台風が日本に上陸し、それに伴い重大な被害が各地で発生しています。

いま、タワーマンションはブームですがこれからマンションを購入する人は、マンションの見た目だけでなく地震や、水害に対するリスクもよく考慮して物件を選定すべきであると言えます。

では、どんなところに注意してマンションを選んでいけばいいのでしょうか?

地震や台風水害に強いマンションの選び方について紹介します。

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水害に対する対策

まずは、水害に強いタワーマンションとはどのように探せばよいのかポイントを解説します。

エントランスが浸水する可能性が無いか

まず、タワーマンションは後述の通り地震対策などが徹底されているため、国の基準を遵守していれば倒壊のリスクは少ないと言えます。

しかし、エントランスが浸水してしまいますと、エレベータが停止してしまう可能性が極めて高くなります。高層階の方は徒歩で自宅まで帰宅することになってしまい、これは大変なリスクです。

以下のような物件は、エントランスが水害により浸水するリスクが高いかもしれませんので、物件を見学した際に対策状況等をよくヒアリングするべきであると言えます。

確認ポイント

・エントランスが前面の道路よりも低い

・1階の部屋が半地下構造になっている

・そもそもエントランスが地下にある

一階部分が半地下になるのには、このような理由があるようです。

引用元:週刊文春オンライン

マンション業界では開発のために取得した土地の上に、なるべく多くの住戸を確保した建物を造りたいと考える。だがそれぞれの土地には用途地域から容積率、建蔽率など様々な規制があり、その範囲内で建物を建設する必要がある。とりわけ住居地域などで苦労するのが、建物の高さ規制だ。

街を歩くとときたま、1階部分が半地下のようになっているマンションを見かけることがあると思うが、実はこうしたマンションの多くが、高さ規制10メートルの土地に建っている。その規制の範囲内では、普通に建設すると3階建てが限界だ。だが、地面を掘って1階を半地下にすれば、4階建てにできるのである。

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駐車場が浸水する可能性がないか

タワーマンションの場合よくあるのが、駐車場が地下にある場合や、ピット式機械駐車場の場合です。駐車場が地下にあり、何も対策していない場合は当然水害が発生した際に真っ先に駐車場が水没します。また、駐車場からエレベータに乗れる場合は、同時にエレベータも停止してしまう可能性が高まります。

もし、物件の駐車場が地下にある場合は、同様に対策状況等を確認するべきであると言えます。

停電に対する対策

水害と併せて、停電に対する対策がされているかも確認することが重要です。

水害による停電に対する対策

以下のNHKニュースにありますとおり、水害により変電設備が故障してしまいますと、電気が停止するだけでなく、併せて水道まで停止してしまうことになります。

引用:NHKニュース

タワーマンションが建ち並ぶ川崎市中原区の武蔵小杉駅近くでは、台風による浸水で、47階建てマンションの地下の配電盤が壊れ、多くの部屋で停電や断水が起きているということです。住民たちは階段で高層階まで上り下りしたり、親戚の家などに身を寄せたりしているということです。また、武蔵小杉駅のすぐ前にある地上22階建てのマンションでも、浸水で地下の変電設備が壊れ停電が起きたということです。

高層階の方は、徒歩で帰宅する必要があるだけでなくトイレも利用できなくなってしまい、「居住の継続が出来る状況であれば、在宅避難をしましょう」(東京都)と言われても、在宅避難もままならない状況となってしまいます。

また、タワーマンション建築があちこちで行われている地域では、避難所の開設が間に合っておらずキャパシティオーバーとなっており、避難したくても避難場所も満席という状況になってしまう可能性があります。

上記の教訓から、今後マンション購入を検討されている方については、配電盤や変電設備に対する水害対策がどうなっているかを、見学時などにヒアリングするべきであると言えます。

予備電源の対策

先述の通り、タワーマンションでは電気が止まることで水の供給も止まってしまいます。

タワーマンションでは、電力でポンプを稼働させ、水を上層階へ押し上げているため、電気がある限り水が蛇口から出てくるが、電気が止まってしまうと水も出なくなってしまうからです。

先の事例の通り、配電設備が故障してしまうとどうしようもありませんが、非常用電源については重要な確認ポイントであると言えます。

最近のタワーマンションの目安としては「72時間の電源確保がされているか」です。地震や水害で電力が途絶えても、非常用エレベーターを72時間は動かすことができるように設計されているかを確認するべきではないでしょうか。

耐震構造

タワーマンションの耐震構造について確認しましょう。

60メートルを超えるタワーマンションは、安全に関する非常に厳しい基準を確認した上で国土交通省の認定を受けなければ建築することができません。たとえば震度6~7の地震が発生したときにも建物が耐えうるという基準が含まれており、以下のいずれかの手法で実現されます。

そもそも要件を満たしていなければ建築できないので、地震に対する耐性はあると言えますが、特性が異なりますのでどの手法で実現されているかを確認するべきであると言えます。

耐震構造

まず、耐震構造ですが、建物そのものを頑丈に作ることで地震に耐えるように設計している構造体のことです。この構造体ですと地震の揺れを押されるわけではく、そのまま受け止めるようなかたちになりますので、他の構造体よりも大きく地震で揺れるという特徴があります。

制震構造

制震構造ですが、制震部材を建物の中に組み込み、地震の揺れを吸収する構造体です。揺れを吸収するため上記の耐震構造よりも地震が発生しても揺れが少ないという特徴があります。

を指します。揺れを吸収するので、家具の転倒や建築物そのものの損傷を抑えることができるのも特徴。上の階ほど揺れが大きくなりがちな高層ビルやタワーマンションによく採用されています。

免震構造

最後に免震構造ですが、建造物に揺れが伝わらないように免震装置の上に建造物を建築するという構造です。地盤から、建築物が離れているため、地震の揺れを抑えて影響を小さくすることができます。

免震構造が採用されていますと、地震が来たときに家の中の家具が倒れたりといったリスクが少なく住みますので、建物に免震構造が採用されているか確認するのが良いのではないでしょうか。

その他入居後に個人でできる対策

すでに入居している場合などについては、以下のような個人でできる対策をしましょう

3日~7日分の飲料水や携帯トイレ

タワーマンションの高層階については特に、地上まで降りることが困難になってしまい、陸の孤島のような状態になってしまう可能性があります。それでもしばらくは生きていけるように飲料水や携帯トイレを備蓄しておくのが良いのではないでしょうか。なお、内閣府は1週間分の備蓄を推奨しています。

参考:内閣府

家具の固定

上層階になればなるほど、地震で建物はゆれます。

定番の対策ですが、家具は点灯しないように固定しておくべきであると言えます。

まとめ

タワマンというと、夜景が綺麗で、設備も充実していてリッチなイメージがあると思いますが、災害に対する意外な脆弱な一面が10・12の台風で明らかになったのではないでしょうか。

もし今後タワーマンションなどを購入する場合はこのような被害に合わないように十分に情報収集をするべきであると言えます。